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_Odontogriphus_ その3 [生物]

とかく系統が不明と言われていたバージェス動物群だが、Odontogriphusが軟体動物らしいとなり、Halkieriaの腕足類との類縁関係があれこれ言われたり、HalkieriaWiwaxiaの類縁関係がうんぬん言われたり、Anomalocarisは素人目には有爪動物にしか見えなかったり、新種、新標本が見つかってくるにつれ、断片的に知られていた奇妙な生物の間がいくらか埋まりつつあるように見えないでもない。というのはもちろん素人目にそう見えるというだけのことだが。

前回

なぜいままでは1個体しか見つからなかったのか、という点にも強い興味がある


なんていうことを書いたが、ようは、パッと見たところこれといって外敵に対する防御策を講じているような感じがしないところに微かな引っかかりを覚えたということである。主たる生息環境、あるいは年代が、他の諸々のバージェス動物群とわずかに違っていたんじゃなかろうか、なんていうことをぼんやりと思ってみた。かなり怪しい想像だが。


イカ [生物]

あくまで個人的な印象だが、CephalopodとAnomalocaridは生態的に非常に近かったんではないか、と。
非科学的な個人的な印象だが、イカ類は軟体動物の進化のある極の頂点なんじゃないか、と。

微妙に前回の話題と重なるが、lateral pocketをググると「原色世界イカ類図鑑」がひっかかってくる。鳥のlateral pocketとイカのlateral pocketは無論全く関係ないが、このサイト、ずいぶん以前にイカを調べたときにも引っかかって大いに参考にさせていただいたことがあった。

このサイトによると、イカは世界に450種いるそうだが、種数的には図鑑にするのに丁度良さげである。もちろん、数が良さ気だろうが何だろうが図鑑を作るのは大変な労力がかかっているのは当然である。しかしこの「全国いか加工業協同組合」というのは何なんだろう。図鑑といいサイトといいとんでもなく良い仕事をバリバリされている。

とろこで、イカ類をバリバリ折る人はいないのかな。


WEB版 原色世界イカ類図鑑
http://www.zen-ika.com/zukan/


タグ:書籍 十腕類

ラテラルポケット研究中 [折り紙]

お仕事でまた外に出ている間、旧作のハリオシギをベースにシギチをあれこれ模索していた。あれこれあれこれテストしているうちに行き着いたのはlateral pocket。やはり鬼門はそこか!

いずれ解決しなければ先に進まないと思われていた懸案の事項の一つがlateral pocketである。種によっても具合が違えば、姿勢によっても激しく違う。それぞれに応じて領域を確保せねばならないし、またあるいは直線的に紙を被せればよいわけでもない。考えるだに厄介である。

しかしいつまでも厄介厄介言っていても始まらない。とにかくテストテスト。

全く満足いく段階には至っていないが、やりようによっては、ついでに胸の幅広い立体感までも出せる可能性が出てきたような…。これはひょっとすると潜在的にはかなり大きいかもしれぬ。マイ・プチ盛り上がりであるが、もっとも折り出せたとしてコントロールしきれるのか、という問題もあるわけで。

新たな局面を迎えたような迎えてないような、微妙な可能性を秘めつつ研究中。


タグ:試作

_Odontogriphus_ その2 [生物]

個人的には、逆になぜいままでは1個体しか見つからなかったのか、という点にも強い興味があるのだが、ひとまずそれは置いといて。

前回の続きっぽく、非科学ついでにさらに想像をたくましくしてみると、案外、連中の体色って鮮やかかもしくはシアノバクテリア色(なんだそりゃ)をしていたかとかだったりするんじゃないだろうか、と。
というのも、どうやって(おそらくいたであろう)捕食者から逃れていたのか、という素朴な疑問と、ウミウシとの単純すぎるくらい単純なアナロジーと、最近話題の視覚の問題からの思い付きである。

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

  • 作者: アンドリュー・パーカー
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2006/02/23
  • メディア: 単行本


姿といい動きといいそれまでのインパクトのある復元から良い感じに地味な復元に変わったなぁ、と思った一方で、案外、色にはちょっと気を遣わなければいけなそうだなぁ、とも思ったわけである。どうもNHKのCGのイメージが強く、無意識のうち体色を肌色っぽいイメージに抱いてしまいがちだが、・・・復元するときはちょっと考え直しても良いかも。


オガサワラオオコウモリ [生物]

blogの利点は、実はカテゴリーで記事を抽出できる点にあるんじゃないかと思い始めた今日この頃。そうなると、1つの記事に対して複数のカテゴリーが指定できないことが不便に感じ始めた今日この頃。

オガサワラオオコウモリ

小笠原の夜中、何やらでかいものがバッサバッサ飛んでいたらたぶんそれはオガサワラオオコウモリ。多摩動物園の特別展「小笠原」にも標本が展示されていた。

コウモリというとどうしても後肢に目がいってしまうのは変だろうか。いや、誰がなんと言おうと変なのはコウモリの後肢のほうである。あの異様に広い(ように少なくともわたしには見える)可動域を持った股関節。筋肉の付きかたも興味深い。
しかし何故に前肢の第5指と後肢の第1趾側を繋ぐように皮膜が発達したんだろう(という理解でいいんだよねぇ…)。それは何だ?皮膜が発達する前に股関節の可動域が特殊化したということなのか??系統的に奇蹄目や食肉目と近いことになっているわけだが、ベイサルなペガソフェラエはいったいぜんたいどんな形態、生態をしていたんだ?ちょっとやそっと机上で考えてどうにかなる問題ではおよそなさそうである。

で、もし折り紙で折るとすると、たぶん飛んでいる姿を折るのが普通だうと思う。でもだがどうせ本格的にやるとするならば、地上をえっちらおっちら歩いている姿や天井からぶら下がっている姿も折りたいということになるだろう。となるとこの辺の理解も必要になってくる。ウルナとラディウスがヒューメラスの倍くらいの長さだったり、ゆるいカーブをしているのもちょっと見逃せない。今度、慎重にイエコウモリを解剖してみよう。

オガサワラオオコウモリ

はりつけ状態のオガサワラオオコウモリ。足の「ひら」が腹側に向いている点に注目。また、オオコウモリなので尾が無い点も注意。小型のコウモリには尾があって大型のコウモリには尾がない。…実に興味深い。


Nishihara, H., Hasegawa, M. & Okada, N. Pegasoferae, an unexpected mammalian clade revealed by tracking ancient retroposon insertions. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103, 9929-9934 (2006).

PNAS ペガソフェラエについて。有り難いことにFull TextがPDFで読める
http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/0603797103v1


アオウミガメ [生物]

書いてる内容がようやく現実の時間に近づいてきた今日この頃。

アオウミガメ

先日、えぇと、2006/08/06、多摩動物園にて行われた「小笠原を知る講演会」に行ってきた。演者のみならず会場にもお馴染みの面々が揃い、かれこれ5ヶ月ぶりくらいに森林総研関係の面々や上野動物園のあの人や解説員のあの人や都立大のあの人やらとお会いできた。
講演の内容は無論興味深く勉強になるものだったわけだが、敢えてそれには触れず、会場で開催されている特別展「小笠原」で見かけたものをいくつか…。

2005年7月産まれ(こういうのは「産まれ」という表現で良いのかよく分からないが)のアオウミガメが2頭、それぞれ水槽の中で泳いでいた。まだ1歳ということもあり、サイズ的には(法的にとか倫理的にとか餌代はどうするんだとか誰が管理するんだとか大きくなったらどうするんだとかいうことを抜きにすれば)飼って飼えないこともないギリギリくらい。かなりかわいらしい。

ハトの首振りや歩行の研究でお馴染み藤田さんも言っていることだが(私信?)、運動というのは実はかなり速い。ふだんから肉眼でも見てはいるため、なんとなく見えているような気になってしまうが、実際にどこがどう動いているのか詳細に観察するのは困難である。ウミガメ然り、ふらふら泳いでいるようでいて実はけっこう鰭の動きは速く感じた。さりげなく手首の関節をクッと捻ったりしているようなのだが、何がどう動いているのか捉えきれない。

デジカメで(無駄に)連写し、あとでじっくり見てみようと思っているのだが、それ以前に連中の骨格やら筋肉の付き方やらからしてあまりよく知らないため、どこまで動きを把握できるか定かでない。カメの理解にはまだ程遠そうである・・・。そういえば西表でヤエヤマセマルハコガメを観察したときも、(無駄に)連写したっけ。相変わらず進歩の無い私である。

なお、デジカメなんだから連写するより動画で撮ったほうが良いんじゃないかと思われそうだが、コマ数が足りず時間の解像度が低い。と思う。たぶん。きっと。(というのは半ば言い訳で、コマ送りが面倒くさいとか、手持ちだとぶれて比較するのが面倒くさいとかいうのがほぼ本音である。)

アオウミガメ
連写したアオウミガメの一コマ。何枚も写真を見ているうちになんとなく分かってきたような気もするが…この前肢は一体どう曲がっているのだ?


タグ:形態 カメ類

ハシボソミズナギドリ [生物]

注目の話題を掘り起こしている真っ最中であるため時間軸を行ったり来たりだが気にしない。

ハシボソミズナギドリ

千葉の海岸のある時期ある範囲においてハシボソミズナギドリが大量に打ち上げられる。拾いに行きたいなぁと思いつつなかなか叶わないのだが(がんばって行動すればいいだけのことではあるのだけれど)、有り難いことに箕輪さんが取り上げてくれている。

翼の資料というとやはりUniversity of Puget SoundのWing Image Collectionだが、日本の資料となると途端に見つからなくなる(羽毛に関しては良い資料がある。例えば「羽 原寸大写真図鑑」)。

原寸大写真図鑑 羽

原寸大写真図鑑 羽

  • 作者: 高田 勝, 叶内 拓哉
  • 出版社/メーカー: 文一総合出版
  • 発売日: 2004/02
  • メディア: 大型本


「鳥好き」の人の中には、資料として掲載された鳥の死体に対しても激しく嫌悪感を表明する人もいる。まぁそういう人もいて当然なのだが、詩的な観点からしか見ず「資料」という認識が無いのは何ともアレである。いずれにせよ、どうしても一般からの風当たりは強くなってしまうのだろうが、それはそれとしてこような貴重な資料を挙げていただけるのは非常に有り難い。

ちなみに、翼の長い鳥にはウルナが長い(つまりセカンダリの幅が長い)タイプとプライマリが長いタイプがあるが、これは、揚力をより多く生じるか推力をより多く生じるかの違いが大きく効いている、と認識して差し支えないのかな?


恐竜おりがみ [折り紙]

これと言って決定的な問題ではないのだけれど、タイトルに斜体は使えないのね。学名の表記は、だから前後に「_」を付けて区別できるようにしている。ちょっとPhyloCodeっぽくなくなくないぃ?。

恐竜おりがみ

ついに商品化に至ったまつもと作品。本家のサイトをしばらく閉めていたため紹介が遅れていた話題である。ふらぎさんとこで既に紹介されているため、詳細はそちらも併せてドウゾ。

紹介が遅れたぶん、折角なのでその後の情報を少々。
現在、各地へ出荷、販売がはじまっているようです。玉川高島屋の恐竜展
や、静岡松坂屋の恐竜展
でも扱われているようです。
好評のようで、売り切れ間近という情報も入ってきてます。


タグ:書籍

_Waimanu_ [生物]

そんな頻繁に更新してるヒマあるかい、と思ってblogはずっと敬遠していたのだが、実際にやってみると確かに比較的楽ではある。

最古の化石ペンギンWaimanu

化石ペンギン類やプロトプテルム類は生態的にも興味が尽きないところだが、また形態的にも興味深いWaimanu
W. tuatahiの長いマンディブルはヘビウ類と近しい印象(もちろん系統の話ではなくてファンクショナルな話)があってこれまた非常に興味深い。

ペンギンと、さらにペンギン様鳥類とかクジラ類とかを、地理的時間的軸上にだーーーっと並べてみたい。変遷がクリアに見えてきそう。しかしなんで現在はヘビウの分布が限られているんだろう・・・。面白そうだが手に負えなそうでもある。


Slack, K. E., Jones, C. M., Ando, T., Harrison, G. L., Fordyce, R. E., Arnason, U., Penny, D. Early Penguin Fossils, Plus Mitochondrial Genomes, Calibrate Avian Evolution. Molecular Biology and Evolution 23(6), 1144-1155 (2006)

Molecular Biology and Evolution 有り難いことにFull TextもSupplementary MaterialもPDFで読める
http://mbe.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/23/6/1144

University of Otago の Department of Geology の該当ページ
http://www.otago.ac.nz/geology/features/paleontology/waimanu.html

Waimanuの話題を扱っているblog
http://scienceblogs.com/pharyngula/2006/03/waimanu.php


_Odontogriphus_ [生物]

唐突に開設してみたブログだが、おそらくはいつまで経っても「テスト稼働」のままだろう。いつまで持続するかもさっぱり分からない。ともかく、「無いも同然の私の記憶領域をちょっとでも整理拡張できれば」くらいのつもりで、試しに動かしてみることにする。

さて、本家のサイトも数ヶ月は休業状態のままだったわけで、その間にも様々なことが起こっていた。まずはそれほど新鮮でないところから、ちょっとずつ話題を掘り起こしてみる。

Odontogriphusの実体にぐっと近づいたのよ

Odontogriphusというと、海の中を一反木綿のように泳いでいる油揚げのような姿を思い浮かべるものだが、しかし果たしてホントにあんな動きをしてたのかよという素朴な突っ込みも入れたくなってくる。
そして、The Fossils of the Burgess Shale にも

one of the rarest of the Burgess Shale animals.

とあるように、これまで1標本しか見つかっていなかった。

The Fossils of the Burgess Shale

The Fossils of the Burgess Shale

  • 作者: Derek E. G. Briggs, Douglas H. Erwin, Frederick J. Collier
  • 出版社/メーカー: Smithsonian Inst Pr
  • 発売日: 1994/11
  • メディア: ハードカバー


とにかく稀少で得体の知れない生き物と認識されていたわけだが、かといっていつまでも珍しいだの分からないだの言っているわけにいかない。着々と研究は進められていたようで、掘りに掘って新標本がなんと189個。より保存状態の良い標本も見つかり、ついにOdontogriphusの正体にぐっと近づいたというわけだ。

いままで8の字型の口のように見えていた部分は、軟体動物の口器に見られる歯舌であったらしい。だもんで、Odontogriphusは貝なんかに近縁という結論になったらしい。体の縞模様も、実は正中線上の「足」とその両側に並ぶ「鰓」だったようで、這い回りながら藻類を食っていたようなイメージだったのかもしれない。非科学的な印象だが、こぉ、ウミウシなんかとどこか近しい雰囲気があったのかなぁ、なんて勝手に想像してみた。


Caron, J.-B., Scheltema, A., Schander, C. & Rudkin, D. A soft-bodied mollusc with radula from the Middle Cambrian Burgess Shale. Nature 442, 159-163 (2006).

the Royal Ontario Museum の press release
http://www.rom.on.ca/news/releases/public.php?mediakey=axxy03tzjj
Nature の Editor's Summary
http://www.nature.com/nature/journal/v442/n7099/edsumm/e060713-09.html
CBC News 化石の写真と復元図
http://www.cbc.ca/story/science/national/2006/07/12/mollusc-fossil.html
日本語で
http://www2.tba.t-com.ne.jp/nakada/takashi/scripts/paleontol.html#060717


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