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鳥の飛行について [生物]

山階鳥研News 9月号が届く。
開いてまず飛び込んできたのが上記表題の話題。

アオウミガメのところでも少し触れたとおり、運動というのは非常に速い。肉眼だけで全てを観察するのはほとんど不可能であり、写真や映像、力学的な分析は何が何でも必要になる。まして飛翔は流体中で起きる現象のため、いよいよ事態は複雑になる。

鳥の飛翔という現象には、様々な時間的空間的スケールでの現象が重なり合っているということで、より具体的な話題は氏のサイトにも紹介されている。また、11月号に続編が載るそうで期待したい。

そしてもう一点。今まで漠然と気になっていたことが、この記事でかなり明瞭になった気がする。たとえば、飛翔しているアカオネッタイチョウの写真をいくつかの図鑑で見ると、ある写真では後肢が畳まれている一方、またある写真では後肢を伸ばすどころか蹼まで大きく広げている。あるいはカワセミがダイブする写真を見ると、後肢を畳んでいるものもあれば前に突き出しているものもある。これはいったい何なんだろう、というのがあった。

漠然と感じていたこれらのことも改めて指摘されると確かにその通りだが、後肢や首の動きも空力的な影響を与える。単なるバランス取りのためだけでなく、種によっては方向転換のため首や後肢を積極的に利用しているそうである。以前、ミネラルフェアでPseudodontornisを折ったとき、進行方向に首を曲げ体勢を傾けた状態にしたことがあったが、後肢にも注意する必要があったわけだ。

しかしこのサイト、今の今まで捕捉していなかったのが我ながら口惜しい。以前何かを調べたときに一度見かけたような記憶が微かにあるが、そのときはほとんど見過ごしていた。
今までも、翼端の反りや翼後縁の膨らみなどは注意していたが(この表現具合如何で空気の流れや風が見えるか否か決定的に変わってくる)、観察による経験+理論的な観点からの意識を含めていく必要がある。

ちなみに、このサイトにあるセグロセキレイには全くやられた。なんとなくこのような方向性の作品を作っている人はいそうな気は薄々していたし、自分的にも動きを1つ1つ並べていく作品をやってみたいと思ってはいたが、これをやられるとは。


森岡茂樹. 鳥の飛行について 科学技術の知識を通して見える野鳥の飛翔姿(上). 山階鳥研News 18(6), 2-3 (2006)

鳥の彫刻ー日本の野鳥の飛翔姿ー
http://www.kyoto.zaq.ne.jp/morioka/japanese-0.html


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