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折り図考-その4 [折り紙]

学研方式の折り図は「まだまだ未成熟に感じる」と前述した。折り図の文法が云々ということを長々と書いてきたが、実はもう一つ、けっこう決定的な問題点がある。

実際に折り図を描いている人が特に面倒な作業と感じる部分の1つなんではないか、と思う点でもあるのだが、通常の折り図は、意図的に角をずらして作画されている。

実際には角をあわせてきっちり折っているものであっても、角や線をずらして作画することによって、紙の重なり方が把握できるようにされている。
上の例でも分かるように、実際の形のまま作画した場合、上に開いているのか下に開いているのか、左右それぞれ何枚の角が重なっているのか、これだけでは分からない。
これに対して通常の折り図の場合、下に開いていて左右それぞれ二枚の角が重なっている、という、位置関係が把握しやすくなっている


おりがみ恐竜博では、作画ではなく写真による折り図になっている。このような、写真を使ったタイプの折り図はすでにいくつもあり、実際、読者の方にも「写真の方が分かりやすい」という意見がある。どういう図解の仕方が分かりやすいか、というのも人それぞれな部分があるだろうし、実際、基本的な折り図の読み方が分かりさえすれば、どちらの方法であってもこれと言って差し支えない。
作図による折り図であっても、初心者向けに部分的に写真を交えて説明すれば、効果的に分かりやすいものになったりするかもしれないし、言うまでもなく逆もまた然りである。
これもここまでは良いだろう。


写真による折り図になっている点は良い。しかし、「カドとカドをあわせる」という説明と共に、しっかり角を合わせて折ったものが写真として使われているため、位置関係がかなり分かりにくい場合が少なくない。
これを決定的にしているのは、折り線や矢印を過剰とも思えるほどに省いている点である。動きがあまり描かれていないうえ、紙の重なりなどの位置関係も捉えにくいため、何をどちらに折ってどうなったのか、前後のコマをかなりじっくり見ないと分からないことが少なくない。

  • 折り線や矢印をなるべく減らして圧迫感を減らす
  • 「次のコマを見ながら折る」感覚がつかめない人にも分かりやすいように図の流れを変える
  • 分かりやすいように図ではなく写真を使う

という個々の意図は分かるには分かるのだが、全体として十分に噛み合っていない。このへんが、「まだまだ未成熟に感じる」というところである。

ともかく、走り出してしまったからには、やらなければらない。果たしてこれからどのように展開していくのか、ここから先は学研さんのお手並み拝見というところである。


タグ:考察
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