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久慈琥珀博物館 [生物]

岩手をあれこれ彷徨いつつ盛岡から久慈に向かった。地図上ではそれほどには感じないが、遠い。非常に遠い。どう調べても電車ではかなりの時間的金銭的コストがかかるようだったため、バスで向かう。それでもそれなにに時間はかかるため、夕方に久慈に向かい一泊、その後博物館に向かうという流れに。

予め博物館に連絡を入れておくと、最寄りのバス停から車で迎えてくれるのがありがたい。バスの本数は限られているので要注意である。

さて、今回の最大の目的は、琥珀に関する資料の入手と、後羽が包有された琥珀化石の見学である。
後羽が包有されたコハクが常設展示されているのか分からないが、少なくとも今回は見られた。もしかしたら、特別企画展「太古の琥珀の森・恐竜展」が開催されていたためにその一環として展示されていたのかもしれないので一応チェックしておいたほうがよいかもしれない。
肝心の化石だが、非常に小さい。拡大鏡を通して見ても小さい。もともと宝飾品として加工されるのが前提となって詳細なチェックをされていたがゆえに見つかった…なんていうような感じなのかな、と(勝手に)想像してみた。
現在はまだ詳細な研究は成されていないようだが、海外では、コハクに包有された羽毛の微細構造からそれがキツツキ科と同定された例もあるくらいなので(Roxie et al., 1994)、今後どうなるか楽しみである。もっとも、久慈の羽毛化石は約8500万年前のものであるため、現生鳥類との単純な比較は困難かもしれないが。
この標本のポイントは、これが後羽だという点にある。この時代に後羽が見つかった、ということは…これをどう解釈するかはなかなか難しい。かな?という印象がないでもない。

なお、近辺ではカメ類化石もけっこう出ているようである。比較のためにカミツキガメ(だったかな?)の交連骨格も展示されていたり(舌骨ってこうなってるんだ…まだカメは知らないことばかり)アノマロケリス(レプリカ)もあったり、周辺の展示もかなりおいしい。写真撮影が禁止されていたのが残念だが、標本の保護という観点であれば、これは致し方ない。

ちなみに、おみやげコーナーではもちろん膨大なコハクが取りそろえられている。虫入りコハクも無論扱われていた。ただし久慈産の虫入りは一切非売品であるらしく、海外産に限られていた。これもまぁ致し方ない。ただ1つにしてもっとも残念だったのが、安価な虫入りコハク標本にはラベルがなかったという点である。数万円クラスの虫入りコハク(つまり私にとっては予算オーバーな代物)にはしっかりとしたラベル、いや、ラベルというかもう鑑定書のようなもの?がついているのだが、数千円から一万円程度の虫入りコハク(つまり買う気満々で物色していたもの)にはラベルがない。店員さんの話によると、どこそこ産とどこそこ産のコハクのどちらか(つまり混ざっているということなんだろうと思う)という話で、残念ながら標本としての価値はない。泣く泣く引き下がるしかなかった。おそらくはもともと宝飾のため多量のコハクを一絡げに加工しているとかそんな感じでラベルの付けようがないとかそんな感じなのかなぁ、と(勝手に)想像してみた。包有物の同定はなくてもかまわないから、お願いだからせめて産地と時代はつけて欲しい。結局虫入りは買わず、ラベル付きの久慈産とバルト産のコハク原石標本を購入。これはこれで満足。


久慈琥珀博物館
http://www.kuji.co.jp/museum/index.html

Roxie, C.L., Douglas, W. D. and Francis, M. H., Feather in Amber is Earliest New World Fossil of Picidae, Wilson Bulletin 106(1), 18-25 (1994)


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コメント 2

維都夜潮

荻窪にオススメの琥珀屋あり。
http://www.amber-shop.com/
新宿のミネラルフェアにも出展してるから、
次回にでも紹介するよ。
by 維都夜潮 (2006-09-27 23:06) 

t-usuda

コメントありがとうございます。
また貴重な情報ありがとうございます。

今まで、ミネラルフェアでコハクは「ちらっと」しか見ていなかったのが我ながら口惜しいところです。まだまだいろいろなものを見落としていますねぇ…。

その際はよろしくお願いいたします。
by t-usuda (2006-09-28 22:16) 

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